いつか愛せる

DVのその後のことなど

義両親とデイケア

 義母が退院後に買った介護用品は靴と杖。転びにくくて脱ぎ履きが楽な介護シューズ。

紐つきは絶対ダメ。とにかく足がスッと入って即歩ける状態になるもの。前面をマジックテープで開け閉めするタイプが多い。ゴムで前面が伸び縮みするのもいいかと思ったら、義母の指の力ではゴムに勝てない。

 介護用品専門の業者さんは電話1本で来てくれるしアフターケアも良いが、製品は高い。靴は7~8千円だったかな。今は似たようなマジックテープ付きの靴が、普通の通販で3千円台であった。

 義母は退院時に尿カテーテルは外すことができたが、自力の入浴は無理。週に2回のデイケアに通うことになり、リハビリだけでなく入浴もまかせた。タオルと着替えを持っていく必要があるが、車で送り迎えしてくれるので楽だ。

 私はデイケアとデイサービスの違いをこのときに知った。似てはいるが、デイケアには医師がいてリハビリを行ってくれる。どちらが合っているかはケアマネに相談して決めればいい。

 

 デイケアに慣れるまでは色々な愚痴を聞いた。スタッフがトイレについて来てくれるのはいいが、義母はどうしても時間がかかる。遅いと心配されるらしく「○分も経ったわよ」と声をかけられて落ち着かない。「あの人には頼みたくない」とこぼした。

 また隣に座っている女性の足が不自由らしく、義母の足の上に彼女の足がダン!と乗った。相手はまったく気付かないが、義母は足を傷めた・・・そんな時はスタッフに言えば席替えを配慮してくれる。

でもそのうち「みんな長所も短所もあって悪い人じゃなかったわ」と言うようになった。

 

 そんな話は、私が夫実家に行き一緒にお昼を食べる毎に聞かせてくれた。何年かの間、私は毎週土日と祭日、緊急事項があるときは平日夜も通った。平均週に3回程だろうか。義母とはすっかり仲良くなった。

行けばやりたくなる仕事はいろいろある。開かずの押し入れの片付けとか、庭の草むしりとか、ノンちゃんのトイレ掃除とか・・・でも私がバタバタ動くより、義母の前に座ってお喋りする方が喜んでもらえる。

 

 一方、義父にも少しは動いて誰かと話したりしてほしいが、デイケアに行きたがらない。義母と一緒ならいいかとケアマネさんに相談したら、問題がふたつ。

ひとつは、ふたり一緒に外出すると愛猫ノンちゃんがひとりになってしまう問題。

そしてもうひとつは「ご夫婦でいるとひとりで来ている方にヤキモチ焼かれることがあります」という問題。

なるほどなあ。配偶者に先立たれた人も離婚した人もいるだろうし、ふたりでいると仲良さそうに見えるだろう。ヤキモチでどんな影響が出るのか不明だが、リスクは少ない方がいい。

 

 そういうわけで、義父は別のデイケアに週に2回の半日ずつだけ。だからお風呂は自宅で入ったが、ヘルパーさんに手伝ってもらった。男性は入浴介助に抵抗が無いのか(腰にタオルは乗せるようだけど)

 入浴のときにはヘルパーさんとの会話が聞こえてくる。義母は「若いヘルパーさんと毎回楽しそうにお喋りしてるわよ」と言う。これも小さなヤキモチか。