いつか愛せる

DVのその後のことなど

愛猫ノンちゃんの受難

 家族の介護で苦労するのは人間のみならず。義母が戻って喜んだものの人の出入りが増え、人見知りなノンちゃんにはストレスだったろう。日替わりでヘルパーさんや訪問看護の医療従事者や、介護用品の業者さんもお弁当屋さんも来る。

それに義母はほんの少ししか歩けず、あまり遊んでもらえなかったかも知れない。

 ノンちゃんの食事は元通り義母が出してくれる。カリカリとかつお節(←塩分がありやり過ぎてはいけないと後から知った)と、時々ちょっと高級なスープのネコ専用ご飯。

 困ったことがひとつ。以前は義母がやっていたネコ小屋とトイレの掃除だが、腰を屈めた姿勢になれないためもう出来ない。義父に頼んでいたがほとんど忘れる。

そして私も慌ただしさの中で汚れたネコ砂を捨てる程度で、ネコ小屋は放置してしまった。

 

 ある日、ノンちゃんが部屋のあちこちで粗相をしたという。それまでそんなことは一度もなく、きちんとトイレを使っていたのに。

あわててノンちゃんのトイレを見に行くと、変色したネコ砂もまったく捨てられていず、濡れていない場所がほとんど無いほどだった。だからノンちゃんは乾いた場所を求めて部屋でオシッコしてしまったのだろう。

「ノンちゃんごめんね~ きれい好きだからここでするの嫌だったんだね~」

ネコ砂を全部捨てるとトイレ自体もかなり汚れていて、お風呂場で全体を洗った。

                                  

 トイレをどけて気がついた。ネコ小屋に敷いてある新聞紙もひどく汚れている。一体いつから取り替えていないのだろう? トイレのネコ砂が汚れたままになった時に、ノンちゃんは新聞の上でトイレを済ませたのかも知れない。そして新聞も濡れて今度は部屋の床に・・・

 

 ネコ小屋はけっこう広くて、床面積は新聞紙丸々1枚を広げたくらいある。古い新聞紙を捨てると恐ろしいことに気がついた。

「む、むしっ!!! 虫がいるぅ~~~~~~~~!!!」

 黒くて小さい虫が何匹もいた! たまに植木についているシャクトリムシに似ていた気がする。本当に申し訳ない。これじゃトイレにも近寄りたくないよね・・・

 ノンちゃんはペットショップから迎えた箱入り娘で、虫を知らないはずだ。(野良出身のネコたちが病気持ちで早逝し、ペットロスになった義母のため健康なネコを迎えたかった)

 

 やむなく殺虫剤を撒き、おっかなびっくり掃除した。虫は庭から入ったのだろう。

小屋ごと外に出せばホースで水を掛けられるが、簡単に出せる大きさではない。室内で小屋に手や頭を突っ込んで掃除するのに汗だくになった。

これではもう義父母には無理だ。今後は私が来た時まめに新聞交換をしよう。

ノンちゃんに害のない虫除けは? と考え、義母が好んで使うハッカ油をまいた。ネコもハッカは嫌いらしいけれど、しばらく我慢してね。

 

 規定でヘルパーさんにペットの世話は頼めない。通える人間がいない高齢の飼い主はどうしているのだろう。ニュースになるような不衛生で劣悪な多頭飼いの現場も、他人事ではないと思った。