いつか愛せる

DVのその後のことなど

ベルサイユのばら_エピソード編感想③

 感想の三番目はジャルジェ夫妻。オスカルの両親で意外なことに実在する人物。

本編では所々に出る準レギュラー扱いだが、子どものころの私は美しくないおじさんおばさんは興味の対象外だった。

 12巻にオスカルの両親の若き日の馴れ初めが描かれている。本編ではおじさんでしかないジャルジェ将軍の青年時代の美しいこと。オスカルの華やかな金髪は父親ゆずりだったか。感情が豊かで顔もよく似ている。

            

 この時代の貴族は政略結婚が当たり前で、結婚後はそれぞれ勝手に恋人を作る。でも彼らは互いに一目惚れの恋愛結婚。

名家でしかも有能なジャルジェ将軍には釣り合わないと国王に反対されるが・・・という部分はネタバレになるので書かない。とにかく当時の貴族としては珍しく愛し合っている夫婦。

オスカルを含めて6人の娘がいるが、親子の仲も良い。(婦人の体が弱くこれ以上の出産は無理と言われ、オスカルを女性でありながら将軍の後継として育てる)

 この家族関係の良さはオスカルの性質に様々な影響を与えただろう。感想①で取り上げたジェローデルの家族とは対照的だ。

 

 またオスカルの母であるジャルジェ婦人(本編では名前が出なかったがジョルジェットと判明)は10代のころ母親から「あなたを見ていると、何につけのめりこみそうで」と心配されている。基本的にはおとなしく従順なのに、母親の心配は恋愛において実証された。

 

 この性質もオスカルに受け継がれたらしい。ブルボン王朝を守ることに生涯命をかけた父親に育てられたし、自分もそうしていたのに。ロザリーやベルナールなどとの出会いをきっかけに革命家に変わるのは、まさにのめりこみ貫く強さを持つ性質。

 体が丈夫ではないジャルジェ婦人は、革命でオスカルとアンドレが亡くなった悲しみに耐えられずに昇天。ジャルジェ将軍は男やもめになるも変わらず、数少ない王党派として王家に忠誠をつくす。

 

 感想②で書いたフェルゼンとともに国王一家の亡命を図ったが、残念ながら失敗に終わる。フェルゼンが自分を呪った運命の日、ジャルジェ将軍も絶望的な表情でパリに連れ戻される国王一家を密かに見つめていた。

 そのジャルジェ将軍を、かつて衛兵隊でオスカルの部下だったアラン・ド・ソワソン(ベルばら終了後もナポレオンの物語で活躍を続ける)が見つけるシーンが11巻にある。

革命家の彼から見れば王党派のジャルジェ将軍は敵だ。でもオスカルの父である将軍の身を案じ、一刻も早くパリから立ち去るよう強く進言する。

その時、アランの手を振り払うジャルジェ将軍の台詞がいい。

「私は娘とはちがう!! 娘には娘の生きるべき道があっただろう・・・だが私にも私の生きるべき道があるのだ 今この時に国王陛下と王妃さまのお傍にいなくてどうするのだ!?」

 

 この台詞。オスカルも同じように考えたはずだ。私は父とは違うと。父の生き方を認め尊敬もしているが、自分の生きる道は違うと。

親子が互いに相手を認め、自分との違いを認め尊重しているのがいい。でもそれゆえ敵対する立場になった。親子で殺し合う羽目にならなかったのは悲劇中の幸いだと思う。

革命後のジャルジェ将軍の消息は不明だけれど、革命家たちに殺された可能性が高い。オスカルと同じく、自分の道に命をかけ貫いた人だった。(実在の人物←これ強調)

 

 ジャルジェ夫妻を取り上げたのに、結局両親を通してオスカルを見てしまう。それでも子どものころと違って両親にも関心を持てたのは私が歳をとったからか。

 

 ところでエピソード編で判明したジャルジェ夫人のファーストネームはジョルジェット。私はフランス語はまったく出来ないので誰か教えてもらえませんか。

苗字のジャルジェと名前のジョルジェットの発音が激似に思えてしかたない。

ジョルジェット・ド・ジャルジェ 

日本語なら吉江淑恵(よしえよしえ)さんのような感じ?