いつか愛せる

DVのその後のことなど

権利書も年金手帳もないのに家を売る

 最初に義母が入院した際、膨大な荷物を少し片付け重要書類の探索をした。その際、義両親の年金手帳が見つからなかった。

手帳は年金の受給が始まれば使う機会はないから気にしなかったらしい。(住所や氏名の変更があれば使うと思うけど)ちなみに死亡後の返却も必要無かった。

 最もあわてたのは土地建物の権利書。会社をたたむ数年前に、会計士さんのアドバイスで不動産は義父から義母に名義変更をしたらしい。義母は「その際にお父さんが会社に持って行き、持ち帰ったかどうかかわからない」という。

 私は片付けの際に、会社の古い書類を段ボールごと捨てた。まさかそこに入っていたのだろうか。必要なものが無いか全部確認はしたけれど、見落とした可能性はある。

 

 夫は両親が要介護になる前から「家を売って便利で手ごろなマンションに」移るよう勧めたが、義母が取り合わなかった。でもいずれ売らなければ介護資金が到底が足りない。

ケアマネさんに相談したが「ご家族がこう考えていますよという言い方しかできない」と言う。まあ無理もない。

 私はまず自治体の無料法律相談を市役所に申し込んだ。弁護士か司法書士に無料で相談できた。ただし月に1回の先着順で、1回1時間の制限もある。

予約はとれたものの、まだ何を聞けばいいかすらわからない。その時点で得た知識は、権利書の再発行は出来ないが、紛失した状態でも売買は出来ること。ただし年金手帳も見つからないので本人確認に時間はかかるだろう。

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 1年くらい後、義母の余命宣告でいよいよ差し迫った。私は再び無料法律相談に行く。今度は具体的な資料を作った。家族関係の図。義母が不動産の名義人でやんわり余命宣告されている。義父は軽い認知症で判断に不安がある。夫も体調が悪く働けないし同席もできないこと等、ひと目でわかるようにした。

 この資料で無駄な時間が省けたのと、私の状況に同情されたのか親身になってくれた。

①年金手帳が無くてもなんとか手続きしてくれるという

 →会場が市役所だったので、帰りに義母関連の書類を取得するよう勧められた。

②古い建物ごと買い取ってくれる良心的な地元の不動産屋を紹介してくれる

 →建物撤去し更地にするのに300万円程度かかるため、売りに出せない状態だった

③不動産売買には義母の存命中に司法書士が名義人の意思確認する必要がある

 →日時を決めて病院まで来てくれるという

 

 もし義母が亡くなってしまうと名義は義父になる。義父には成年後見人をつけないと不動産の売却など出来ず、お金も時間もやたらかかる。さらに義父も亡くなった場合、夫は「相続は拒否する」と言い張る。夫は体調不良だけでなくメンタルも危うくなっていた。

 名義人の義母はいつ亡くなってもおかしくないのに、家を売ることの了承もとれていない。でも司法書士と不動産屋さんが病院に来る日は決まる。当日義母を説得する一発勝負しかない。

 なのに夫は約束の日に、どうしても起き上がれなかった。これだけは私でなく夫に話してもらわなくては。司法書士さんに電話し延期してもらう。でももしその間に亡くなったらどうすればいいのだろう···

 

 と、当時のことを書いていて思った。崖っぷちすぎて司法書士さんに同情されて当然だったかも。でもいい人に当たって助かった。

この前後には、私が市役所に不正を疑われて義母の印鑑証明をとれないトラブルもあった。さすがに私も壊れかけ、窓口でフリーズした。

だから!その間に義母が亡くなっちゃったらどうしてくれる···云々かんぬん···

 

 とりあえず誰かのお役に立てそうなことは、法律相談に行くなら時間を有効に使うため、ひと目で関係がわかる資料を作って行きましょう! ということでした。