いつか愛せる

DVのその後のことなど

助ける準備

 このごろ都営交通で痴漢対策ポスターをよく見る。「助ける準備、できていますか?」と、声をかけることを含め3つの対策を紹介。助けることを促す対策は初めて見た。

         

これまでは「痴漢は犯罪です」と、おもに痴漢予備軍に呼びかけるポスターだった。あれは効果が薄かったのだろうか。

 いいな。いい。痴漢という社会問題が存在することが明確になった。公共交通機関を利用する女の子たち・・・・・だけじゃなくて、男女問わずいくつになっても被害にあう可能性はあるけど・・・・・ひとりで悩まなくなるといいな。

 私は中学から電車通学で、何の予備知識もなく殺人的ラッシュで揉みくちゃになり、時には窒息しそうになりながら毎日痴漢にあった。階段から離れたドアから乗る方が少しはすいているなんて知らなかったし。

 本当に誰にも相談出来なかった。親にはひとことも言っていない。同級生で電車通学しているわずか数人と、ごく稀に「嫌だよね」と言えただけ。

こんなに気持ち悪くて嫌な思いをしているのに、あいつらは何の咎めもうけずに生きているんだと思った。あいつらにとって、私は吊り革程度の存在だろう。感情や人格のある人間だと認識されていないと思った。初めて哲学っぽいことを考えたかもしれない、13歳の私

 電車だけではない。運の悪いことに、駅から学校までの道のりは、ちょっと危なげな繁華街を通らなくてはならなかった。信号待ちしていると後ろからお尻をさわってくるゴミが居たし、部活で帰りが遅くなるとキャバレーの客引きの男性がふざけて声をかけてきた。(学校の場所は悪くないし良い学校だった)

 誤解のないように言うと、私はまったく色気なく痩せっぽちでお下げ髪の少女だった。痴漢が狙うのは恐らく、性犯罪で捕まった人と同じ。性犯罪者の7割が「騒ぎそうにないおとなしそうな相手を選んだ」という統計があるらしい。私の体感でも「でしょうね」と思う。

 

 何年たっても被害の話は腹が立つので、助けられた話をしよう。私があった痴漢はオジサンばかりで、一度だけ高校生男子に助けられたことがある。私の近くに複数の男子高生がいて、私が必死に痴漢の手を振り払おうとしているのに気付いてくれたらしい。ひとりが他の男子に話しかけた。

「痴漢してるオヤジがいる」「何、ナニ、どうした?」「拒絶されてやんの」

自分のことだと理解したらしい痴漢は私から離れた。あのときの男子たち、ありがとう。お礼も言えなかったけど、単に話題にしたのじゃなくて助けてくれたとわかっている。

 助けるのは意外に難しかったり勇気がいる。仲間と一緒の男子高生でさえ、間接的な助け方だった。照れ臭さもあったのかどうかわからないけれど。でも助けたゆえに逆恨みされる可能性だってある。

 だから、助け方を教えてくれるあのポスターはなかなか良いと思う。ただ、私がかつて乗っていた電車ほどの殺人ラッシュだとスマホ出して被害者に見せるのは無理・・・テレワークの普及でそこまで混まなくなったかな? さらに私はガラケーユーザーなのであの手は使えない・・・・・・😢