いつか愛せる

DVのその後のことなど

めずらしく休日らしいお出かけをした

 私たちは新婚旅行以降は一度も旅行していないし、行楽自体がめずらしい。日記もどきで確認すると、昨年のGWは夫の体調がいまひとつで何もなく、一昨年のGWは義父が亡くなっている。その前もそのまた前も、きっと互いの実家に行くだけだったと思う。

だからブログで見る洗練されたホテルやカフェの写真や地方の豊かな自然の風景は、別世界だった。今の自分とは無縁だわと、チラ見するだけ。

 でもようやく今日はお洒落な地元のカフェに行けた。午前中の夫の状態が良さそうなので誘った。フレンチシェフのいるガレット屋さんは、カヌレも美味しいというわさ。我が家から自転車で10分ほど。天気がよく陽気は最高。近所にこんなお店が出来たんだあ。

 木目調のお洒落な店内は、まるであわせたように客層もお洒落? 隣のテーブルは白人男性と日本人らしい女性が英語で会話していた。

「俺も外国人に見えるんじゃないか?」

「かもね」夫はほぼ白髪で、ちょうど今は髪が私よりも長い。

「外国語の振りしてでたらめ喋ってていい?」彼はそういう遊びは得意だ。

「東南アジアの人にしか見えないと思うけど、ここフレンチだよ」

夫はシェフにHelloと言われたらbonjour(ボンジュール)と返そうと、小さな声で練習する。注文したのはGalettes Bretonnes(ガレット)が1人前(ふたりで分けた)

あと、スイーツに夫はガトーショコラ、私はカヌレ。写真を撮ろうかと思ったけれど、夫が「ここでそんな日本人臭いことしたくない」と言う。だから写真はホームページから拝借。

 

 先にアイスコーヒーとスイーツが出た。ガトーショコラとカヌレが同じ小皿に乗っている。夫婦だから構わないけれど、誰ときてもこういう提供の仕方なのかなフランスでは。アイスコーヒーにはガムシロップもミルクもついてこない。こちらもあえて頼まなかった。

 そば粉100%のガレットは、いかにもな感じのフランス人シェフが自ら持ってきてくれた。夫は密かにbonjour(ボンジュール)を言う機会をねらっていた。でもシェフが言ってくれたのは、

Bon appétit! (ボナペティ)召し上がれ」

「あ、ありがとうございます」・・・日本人丸出し。

ガレットもスイーツもとても美味しかった。ガトーショコラは生チョコのようにずっしり重く、少食な夫は「苦しい。でも美味かった」

ガレットのセットにはほうれん草の冷たいスープも付いてきた。ちょっと塩みが強いけれどなめらかでこれも美味。

 開けっぱなしのドアから入る風も心地よかった。全部で3千円程度の小さな贅沢。

満足してまた自転車でショッピングモールに向かい、楽器屋さんと書店を冷やかし、スーパーで食材を買って帰宅した。心地よく疲れた夫は今昼寝している。