いつか愛せる

DVのその後のことなど

母があった詐欺の話⑥「異文化交流の始まり」

 弁護士に依頼したころの母は、女性Xに対して本当にひどく怒っていました。自分が騙されたのみならず、たまたま我が家にきていた親戚の男性からも借り逃げしていたし、実は彼女が生活保護費を不正受給していたことも判明しました。

 

◆生活保護費 母の知人が役所に顔のきく立場だったため、彼女が生活保護をうけていたことが判明しました。お金に困っていないと言ったのは嘘だったわけです。

住んでいたマンションの家賃は、直接税金から払われています。なのに雲隠れしてそこに住んでいないことが、生活保護費の不正受給になります。やがてそのマンションに役所の職員が彼女の不在を確認に来たようです。個人情報になるため、私たちはそれ以上のことは聞いていません。

           

(センブリ=千振の花言葉は「弱き者を助ける」)

◆橋渡し 弁護士は法律用語を使い、完全に論理的です。一方、母は情に厚いタイプで理詰めで考えることは苦手です。事務職ではなかったしビジネスメールを書いた経験もありません。母の書く短いメールでは要望がうまく伝わらないし、弁護士の言葉は母には「難しくてわからない」印象を与えます。私は双方の通訳になることを目指しました。

母も、行方不明の人間からお金を取り戻すのはほぼ無理だろうとわかっています。ただ、このまま放っておくことは感情的に許せないのです。私はそれを「処罰感情」として弁護士に伝えました。私に法律の知識はありませんので、伝えるにも返事を理解するにも苦労しました。

 まず、弁護士に何をどう動いてもらうかさえ明確になっていません。だから放置されているのかも知れず、それなら母がいくら待っても時間の無駄です。まずそこから探ろうと思いました。メールの一部を転記しますが、私から弁護士への質問が赤文字で、弁護士からの返事が青文字です。

 

◆出資金返還等請求事件について

  •  母が⚫︎⚫︎(←弁護士名)さんから「警察が受け入れる確率は20%程度」と聞いたと言います。それはA :警察に被害届を出すと、B:警察に告訴状を出し裁判に進む(または示談に応じる)のどちら(あるいは更に別の意味)でしょうか? 
  • →お母さまには警察に被害届を出して受理される可能性が高くないことについてお話ししました。したがって、△△様(私の苗字)がご提示のABのうち、Aの意味に近いです。窃盗や傷害など行為態様がはっきりしているものであれば捜査がしやすいのですが、返済意思と返済能力がないのに財産を取得するという詐欺罪の性質上、事件化が難しいことのイメージとして20%程度という数字を出しましたが、根拠があるわけではありません。
  • 上記の確率は弁護士の同行によってどの程度上がるのでしょうか? 
  • →警察署の忙しさなどにもよると思います。私が書類を作って同行しても数%上がるぐらいかと思います。
  • 女性X氏の現在の住まいは不明、元の住所(登録上の住居だと推測される)は判明しています。住所不詳でAを行う場合と、住所がわかる場合とでどういう違いがありますか?
  • →住所は住民票上の住所になりますので、住所がわかれば被害届の提出は可能です(住所不定でも可能です)。居所が分からないと調べる必要があるので、警察が動く可能性は低くなると思います。
  • Aを受理された場合、記録はいつまで有効でしょうか?(いずれも処罰感情に影響する事柄のため)
  • →記録とは何を言っているのか分かりません。時効ということであれば詐欺罪の公訴時効は7年です。公訴時効は罪に問える期間ですから、お母さまがX氏にお金を支払ってから7年以内に捜査を終えて起訴する必要があります。
  • 母の希望を鑑みると、裁判を行う可能性は極めて低い状態です。その場合、⚫︎⚫︎(←弁護士名)さんに助けていただける事としてどんなことが考えられますか?
  • →当職が対応する内容としては民事上の責任追及として損害賠償請求が想定されます。そのほかであると被害届を一緒に出しに行くことは可能です。ただ、受理される可能性は高くありません。

 

◆記録の意味 私の説明不足で「記録」が通じませんでした。後日説明し直して返事をもらっていますが、女性Xの件の被害届が警察に残される期間を知りたかったのです。「母の処罰感情に影響する」という説明では伝わりませんでした。

警察に長く記録が残れば、その間ずっと女性Xは怯えなくてはなりません。どの程度で母の怒りが収まるのかわかりませんが、私は記録がいつまで残るか知って母に伝えたかったのです。

弁護士さんを相手にするのは、ちょっとした異文化交流ですね。使用する言語が微妙に違うような・・・

 この後も、私と弁護士さんとの異文化交流は続きます。本当は契約時の面談ですませておく内容だと思いますが、私は同行しなかったので仕方ありません。