いつか愛せる

DVのその後のことなど

消滅する会社にいた経験

 不況や物価高が続いている上に、勤め先が突然の破産とは。今はそんな事例がふえているのかなと思ったニュースです。

突然の破産 従業員ら困惑「こんな最後とは」 中三(青森・弘前市)

◆職場が消える経験 実は20年以上前に似た経験をしました。派遣で某銀行に勤めていたころのこと(元銀行員なので金融業界は受け入れてくれやすかった)です。当時は銀行の合併がよくありました。私の派遣先が、別の大手銀行に吸収合併されることになりました。普通の合併でなく吸収ですので、銀行名も消えるしシステムはすべて合併先に組み込まれます。

           

◆秘密裏に進む さすがにいきなり当日の告知ではなく、データの移行が終わるまで残務処理のために存続し、その間に転職した人もあったと思います。でも末端の派遣社員である私も、仲良くしてもらっていた主任クラスの上司も、まったく同日に知らされたのです。本当にトップの人間しか知らずに決定されたようで、直前まで事業継続が当たり前に行われていました。

◆事業継続中 たまたま私のいた部署は(支店でなく本社勤務だったため)、大掛かりなシステム改修の最中だったのです。何か月も業界専門のSEが綿密な聞き取りをしてくれて、私たちも残業して協力しました。「現システムの他にこういう手作業があり、こういう出力帳票が必要だ」といったことを伝えると、SEは「ではこういう風に構築するのはどうでしょう」と提案してくれます。すぐに業務の流れを理解してくれるので「ああいう人たちは賢いのね~」と感心していました。

◆大きな無駄 聞き取りは進んで、すでに新しいシステムを作り始めていたはずです。それが突然、すべてチャラになりました。一体どれだけの無駄か。私は派遣社員でしたので時給はもらえますが、残業して頑張ったことが無意味に。私の上司や担当されたSEさんたちは、もっと悔しかったでしょう。合併になるなら、こんな無駄なお金や時間を使わなくて済んだのに。そうしてまで秘密裏に進める必要があったのかしらん。行内にだけ通達しても絶対外部に漏れる、という判断でしょうけれど。

◆合併後の居場所 ニュースのように職を失うことは大変ですが、合併先へ移動する人の苦労も知りました。データ移行が終われば自分の居場所は消滅しますので、移行先で立場を確保する必要があります。私の周囲の男性たちは合併先の行員に対しては笑顔で接し、こちら側の女性たち(旧銀行の正行員)には足蹴にするような言動がありました。ちょっと前までは仲間として働いていたのに。余裕がなかったのだろうと思うし別に恨んではいませんが、こちら側の女性たちからは笑顔がまったく消えました。

◆次の仕事探し 派遣社員の多くは合併直前に首を切られましたが、私はデータ移行終了までの期限付きで残っていました。もし希望すれば「合併先の派遣会社に入れてあげられるよ」と言われましたが・・・遠慮しました。勤務地が遠くなって片道90分もかかりましたし、あまりにも居心地が悪くて💦

 あのころは若かったので、次の職探しにそれほど苦労はしませんでした。今はどうなのかな。人手不足の業界は多いはずなので、働きたい人にはベストなマッチングがありますように。