いつか愛せる

DVのその後のことなど

女を捨てる?

 30代に入った辺りから気になった「女を捨てる」という言葉。「女を」というのは多分、女性らしい美しさという見た目と、優しさや恥じらいなどの内面を指すのだと思う。もちろん自分も何歳になろうと捨てずにいたいと思った。当時は。

 内面はちょっと棚に上げて、見た目について申し開きをしたい。はっきり言いたい。

「捨てるんじゃなくて、勝手に剥がれ落ちていくものだった!」

いや、それなりの歳になったら「もういいや」って意識してひとつひとつ捨てるものかと思ったのに。違うのだ。若い時と同じお手入れだと、どんどん剥がれ落ちて消えていくのだ、女らしさの要件が。

 冬になるとカカトが角質化してささくれ立ってくるなんて、知らなかった。洗顔の度に化粧水や乳液を使っても、シミやシワができるなんて思わなかった。白髪を染めたら余計にパサつくことも聞いてなかった。手抜きしないでいろいろやったよ? なのにどんどん劣化するなんて、もう騙された気分だ。

 若い時と同じことしかしないのが手抜きなのだ、と知った30~40代。つまり現状維持するためには、若い時の何倍も手を掛ける必要があるわけで。美魔女と呼ばれるような方はお金と時間をかけて大変な努力をしているわけだ。なるほどなあ。

 

 そしてさらに時は過ぎ・・・女の維持はもうとっくの昔に諦めた。今度はね。人間を捨てない努力が必要になった。ああ、ちょっと自虐すぎるから言い換えよう。健康を捨てない努力が必要になった。

 放っておいたら歩けなくなるかも知れない私の体。そこそこ規則正しく普通に生活しているのに、膝が痛んだり腰が痛んだり。なぜかトイレは近くなるし、起き抜けには目が霞む。

 毎晩ストレッチに励み、サプリ飲んでみたり、糖質を抑えてタンパク質をとる食事を意識したり、それなりの努力してやっと辛うじて現状維持。維持でなく改善しようとしたら、一体どれほど頑張らなくちゃならないんだろう。

 あ、昔より楽になったことがひとつあった。ムダ毛処理。ワキの処理不要になった。まったく生えない。なぜかワキだけ。他の部分とは影響するホルモンが違うらしい。かわりにホクロに生える産毛が昔よりのびるようになっちゃったけど。