いつか愛せる

DVのその後のことなど

義実家と距離をとるチャレンジ②

 義父の退院翌日の月曜日、職場の最寄駅についたところでケアマネージャーに報告の電話をしようとした。ほとんどの関係者は平日の昼間しか連絡をとれないので、仕事の始まる直前の朝9時前後、私は連絡や支払いに忙しく動いていた。その日はちょうどジャストタイムでケアマネの方からかかってきた。

手術した医師が書いた注意書きのようなもの(?)を取りに行くというが、私は医師からそんな物は受け取っていない。もう自分が倒れそうなので「今後の通院からは手を引くこと」「日曜日だけは何とか実家へ行くこと」を伝えた。

 午後、義母からも電話がありすぐ訪問の看護師さんに代わった。義母が私の業務時間内に電話してきたということは、かなり急いでいたのかも知れない。

どうやら手術した医師から訪問の主治医あての書類が必要なようだが、私は預かっていないとしか言えない。昔の私ならあわてて探したり、退院した病院に問い合わせたりしただろう。でも何もしなかった。どうなったか知らないけれど、私がやらなくても事は進んだ。

 その日の仕事帰りには漢方薬局に寄った。自分と夫の健康を優先するために他のことを考えるのをやめた。以降は夫のことをメインで相談するために漢方薬局へ通った。

 ただ、それさえも悩みの種だった。私が仕事に行くのは生活のため。日曜日にだけ義実家へ行くのは夫の両親のため。漢方薬局へ行くのは夫の健康のため。自分と夫を優先しているつもりの行動。

それでも。その間に夫が原因不明のまま動けなくなることがあった。私がどこかへ行くたびに夫を危険にさらした。一体どうすればいいのかと憤るばかりだった。

 

 翌週、義実家へ行ったときにはもうゴールデンウイークに入っていた。もちろんレジャーの予定など無い。

義実家へ行く際、迷いはあったが義母のためのパッドは買って行った。どうせ義両親のお昼を買って持って行くから、ついでなら構わない。

義母は私に配慮してくれたらしく、日曜日も看護師さんに義父の足の洗浄を頼んだとのことだった。訪問看護は日曜日は休みだと聞いていたのに、融通してくれたんだなあ。お金も余分にかかるけれど、考えずに受け入れることにした。

 義父の手当をする必要が無くなったかわりに、義父の部屋のエアコンのフィルターを掃除した。ずっと洗っていなくてものすごい埃。義父の部屋と台所の臭いがどんどんひどくなっていた。ペット用の消臭スプレーをまいても臭いが消えない。台所にいるのが苦痛なほど。

後から気づいたが、庭で粗相するだけが臭いの原因ではなかったようだ。義父がトイレから出た時に下着が濡れていたことがあった。衣類や布団にも臭いがついていたのかも知れない。

 

 その日も「夫が心配なので」と2時半ごろ義実家を出た。義母は寂しそうで私は胸が痛む。でもあえて最近「夫がまともに食事をとれないこと」「私の血圧が170を超えていること」などを話した。

義母も便秘で苦しいと言っていたので「来週、カンチョーを買ってきますね」と伝えた。以前のように「すぐ買ってきます」とは言わなかった。

その代わりお金は多めに置いてきた。ヘルパーさんに買い物を頼めるはず。(盗難のリスクのため、お金や通帳は我が家で預かり毎週使う分を届けていた)