いつか愛せる

DVのその後のことなど

誰かの記憶にお邪魔したい

 世界的音楽家坂本龍一氏が亡くなったそうで。特別な思い入れは無かったものの、ニュースを読むといろいろな記憶を刺激される。

 高校1年の部活の合宿の思い出。宿の駐車場にとまっていた車からは、一日中YMOの曲が流れていた。「RYDEEN」や「中国女」のメロディと電子音が、私の頭にこびり付いた。当時流行り始めたテレビゲームの音みたいな音楽だと思った。

 あの曲を聴くと頭の中が夏になる。強い日差しの中合宿所にはエアコンも無く、開け放した窓から外を眺めていた。ドラマチックなことは何もない風景なのに、どうしてこんなに鮮やかで懐かしいのかな。

 記憶の引き出しが勝手にどんどん開いていく。2学年上に大好きな先輩がいたなあ(女子校ゆえ女性の先輩)。同じ先輩ファンの同期と一緒に、ただその先輩に挨拶するために玄関で待ち伏せた。私服姿の先輩の写真を撮れて大喜びした合宿の日々···

(あんまり人生の走馬灯をぐるぐる回していると「私もそろそろ死ぬのかな?」と心配になるのでもう止める)

 そんな風に私の青春の1ページを彩ってくれた坂本龍一さんとYMOメンバーにも、先輩や同期にも、車で音楽を流していた名も知らぬお兄さんたちにも感謝する。おかげで、確かに私には16歳の夏があったと思える。

            

 あの夏に曲を聞いた当時はお顔も知らなかったけれど、坂本龍一さんと言えば妖艶な感じのメイクとカッコいいファッションも記憶にある。

どんな派手な老紳士になっていても驚かないのに、以外にシンプルで白髪のままだと知る。メイクは好きでやっていたわけではなかったのかな。

 

 彼は著名な音楽家兼俳優だから、世界中の人の記憶にあってそれはこれからもず~っと残る。リアルに会うこともない一般人の私にとって、生きているのと大きな違いは感じない。今後も彼の音楽を耳にするだろう。

 ところで私を覚えていてくれる人は、どのくらいいるのかなあ。

別に名前は知られなくてもいい。例えばこのブログに書いたことを読んでくれた人が、私自身のことは覚えていなくてもいい。

「自分が○○だった時、たまたま読んだブログにこんなことが書いてあったな」と覚えていてもらえたら、素敵だなと思う。

 会ったことのない人の記憶にもちょっとお邪魔できる可能性を、ブログは秘めている。そう思うと書くのがなおさら楽しい。