いつか愛せる

DVのその後のことなど

携帯電話を首からぶらさげている件

 介護が始まった時、平日昼間に電話があちこちから頻繁にかかるようになった。急を要する場合もあるし、そもそも平日の昼間しか連絡をとれない相手が多い。

 

<入院中の例>

  • 病棟の看護師(本人の生活に関することや医師からの連絡など)
  • 病院の相談員(退院に関することなど)
  • 病院の事務方(支払いや書類について)
  • 病院の出入り業者(レンタル備品の支払い等)

<自宅介護時の例>

  • ケアマネージャー
  • ヘルパー派遣会社
  • 介護用品取扱い事業者
  • デイケア事業者
  • 宅配業者(お弁当、新聞、等)

 ざっと思い出してもこのくらいある。入所施設を探している間はもっと増える。キーパーソン認識されるとこうなるので、書類に名前を書く際に覚悟が必要。

 初めは夫がキーパーソンだったけれど、彼は事務的なことが苦手なので話が通じずややこしくなる。しかも体調不良でいつ動けるかわからなくなり、私がキーパーソンになるしかなくなった。

 それで私は仕事中に自分のガラケーを首からさげた。いつでも電話に出られるように。

                 

病院からの電話で「すわ!危篤??」と慌てて出ると「お父様の電動ひげ剃りが壊れてしまって···」だったりもした。

 職場で音が鳴るのはもちろん困るので、常にマナーモード。これは自分が立って動いていると、たまに気付けない。逆に長時間座っていると、妙に気になって「揺れてる?」と勘違いを起こす。あれ?今ケータイ振動したと思ったのに・・・と混乱する。

 かつて3.11の後に、揺れていなくても揺れているように感じる「地震酔い」という言葉が流行ったけれど、私はマナーモードのケータイ酔い?

 私のケータイ酔いを加速させたのは、夫からの電話

動けなくなった時のヘルプコールが何度もあり、その度に私は青ざめて早退した。(あの時期にクビにならなかったのは本当に奇跡)

 電話を握りしめ「今〇〇駅だからもう少しだよ・・・」と声をかけながら帰る。反応が返って来なくても話し続ける。電車の中でも音量を落として声をかけ続けたので、完全に迷惑な不審人物。駅から電話をにぎって何か呟きつつゼイゼイしながら走っている姿も、きっと異様だったろうな。

 やっと家に着くと、夫は玄関やトイレの前で倒れていた。せめてエアコンの効いた部屋の布団の上で倒れてくれればいいのに、なぜいつも寒くて固い床で力尽きるのか。

それで私は完全にトラウマになった。ケータイぶるぶるが怖い

 幸い今は体調も落ち着いて、ほぼそんな状態にはならなくなった。それでも職場では携帯をぶら下げているけれど、念のため。