いつか愛せる

DVのその後のことなど

飲み込めなかったグァバジュース

 義母が食事をまったくとれず、皮を剥いたトマトやジュースを持って行った時の話の記録が見つかった。記憶だけで書いた時の記事が ↓ これ。

 

 その日は夫も同行できて、皮を剥いたトマトとグァバジュースと用意していた。ジュースはコットンで口に含ませてもらおうと考えていた。

看護師さんにせめて水分をとらせてあげたいと伝えると、義母担当の看護師さんがお昼休みから戻ったら渡します、とジュースを預かられた。トマトは無理そうだった。

 義母はその日は口を覆う吸入を外していたので、聞き取りにくいけれど話すことが出来た。久しぶりに床屋に行った夫の頭を見せたりした。

義父を呼ぼうとしたけれど、この日は「力が出ない」と言われて諦めた。

              

 義母担当の看護師さんが戻り、グァバジュースに粉を足してとろみをつけてくれた。スプーンでまずひとくち入れた。

多分美味しいのが様子でわかった。でも飲み込めなかった。頑張って飲もうとしても、その力が出ないらしい。飲み込んでくれたら、もっとあげられるのに・・・

 口の中に残ったものは、後からタンと一緒に吸い出さなくてはいけないとのこと。(後からその作業を見る機会があったけれど、ずいぶん苦しそうだった)

誤嚥の危険だけでなく、吸い出されるのも本人にとって辛い作業だから、無闇に口に入れることは出来ない。

 夫が「ジュースおいしかったか?」と聞くと、義母はうなずいた。よかった。ほんのひとくち、しかも飲み込めないけれど持ってきた甲斐があった。

「また持ってきますね」と言うと「楽しみ」とひとことだけ言ってくれた。

 

 すでに水分すらまったく飲み込めないほど弱ってしまい、もっと早く試せば良かったのではないかと悔やんだ。食べられなくなって間もないころだったら、これほど弱っていなかったかもしれない。

 でもその時々に出来ることを精一杯やったつもりでも、後悔をゼロにすることは出来ないだろうなと思う。