いつか愛せる

DVのその後のことなど

療養型の病院で知った切なさ

 義母が入っていた療養型の病院について、わかる範囲で書いておく。

療養型病院とは「病状が慢性期になった方、治療よりも長期にわたる介護が必要な高齢者が、医師の管理下で看護、介護、リハビリテーション等の必要な医療を受けることができる病院のこと。使用する保険は、医療保険の場合と介護保険の場合があり、各病院によって 適用保険が異なる

 義母の場合、腸閉塞があり癌の疑いもあったけれど、治るかどうかわからず体力的にきつい手術を本人が望まなない。治療をしないならと転院を勧められ、ケアマネージャーからいくつか選択肢を提示してもらって決めた。

 通いの患者が少ないからか駅から遠く不便な場所で、私たちは毎回家からタクシーを使った。それは痛い出費だけれど、自分たちの体力を優先するしかなかった

普通の病院の入院設備と大きな違いはなし。個室はフロアに1つで、ほとんどが大部屋。義母は8人部屋だったと思う。普通の病院と違うのは、ベッド毎についているカーテンが、全部あけたままだったこと。自分でカーテンの開閉をできる状態の人は、多分ここには来ない。つまりプライバシーは存在しない。(とはいえ前の病院でもすでにカーテンは開けっぱなしだった)

 大きな窓からは桜の樹がよく見えた。どのベッドもカーテンを使わないおかげで、部屋全体が明るかった。テレビは無かったけれど、ラジカセで音楽やラジオを聴いている人はいた(聴いて理解できる状態の人かどうかは不明)。ミトンのようなもので手を拘束されている人もいた。

            

 2018年11月10日にお見舞いに行った時の記録より。悲しい現実を知った。私は何度か義母の足をマッサージしたことがある。実家にいたころには肩揉みもした。

その日の義母は、病院のスタッフからは「今日は具合が良い」と言われたけれど、それは「意識がはっきりしている」という意味らしかった。義母はもう元気ではなく、言葉がほとんど出なかった。2ヶ月前には「回復の可能性」を言われていたというのに・・・

だからその場に居ても会話も出来ず、私は義母の浮腫んだ足をほぐしてあげたいと思った。念のため看護師さんに「足をさすってあげていいですか?」と聞くと、止められてしまった。「皮膚が破れたりする恐れがあるので・・・」と。

 ただ義母を眺めるしかない。そのうち義母が腕で自分の体を押さえているのに気付いた。耳を義母に近づけると、辛うじて「寒い」と聞き取れた。少し熱があるらしい。すぐに電気毛布の設定温度を上げてもらった。

他には何も出来ない。側に居てもしてあげられる事がないのは、切ないなと思った。