お盆の時期のせいか、スーパーや繁華街の人通りがやや少なかった。今の私はいつもこんな風に外の様子でお盆を感じる。自分の年中行事としては認識がないし、職場も交代で夏休みをとる仕組みなのでお盆休みはない。
でも子どものころは意識していたなあ。両親に連れられてお墓参りもした気がする。お線香は蚊取り線香の記憶もあって、夏の香りだなと思う。親戚の家に行けば、仏壇にナスとキュウリの馬が飾られていた。
東北出身の母にとって、お盆は大切な時期だったと思う。その時期に帰省すると友人たちも帰省していて、懐かしい人たちに会えるから。「お盆に帰らないとつまらない」とも言っていた。
だから私も母の田舎に行くのは、いつもお盆をはさんだ時期だった。母の出身地のおかげで田舎を満喫できた。何もない山の中だけれど、川でメダカやタニシをとったりトンボを追いかけたりした。
一度だけ、何かのイベントで本物の蒸気機関車に乗ったことがある。絵本で見たように煙を吐き出しながら、大きな汽笛を鳴らして走る。トンネルに入る時には、急いで窓を閉めなくてはならない。一足遅れると窓から焦げ臭いススがどんどん入ってきて、危うくギャグのように顔がススだらけになるところだった。
もぎたての🍅の味も懐かしい。「畑でトマト食べておいで」と言われ、真っ赤に熟れたトマトをもいでみる。スーパーで売っているような、色も味もマイルドなトマトとまったく違い、大きくて真っ赤でものすごく青臭い。ひと口かじると、自分が🐛青虫になったような気がする。きっとトマトが好きでない人には敬遠される匂い。でも濃厚で癖になる、私にとっては本物のトマトの味。
茹でたての🌽トウモロコシも大好きだった。粒が大きくて甘くてハリがあった。井戸で冷やした🍉スイカもご馳走だった。
ほおずきの鳴らし方も教わった。まず小さな穴から、皮が切れないように中身を出すのが難しい。うっかり実が口に入るとすごく苦くて酸っぱい。カラになったほおずきの穴の部分を下唇にあてて、キュッキュッと鳴らすのは難しかった。
道端には、日本古来の花があちこちで咲いていた。桔梗は咲いた花も美しいけれど、つぼみの形が丸味を帯びた🌠星のようで可愛いかった。
最後に田舎に行ったのは、多分法事があった15年以上も前のこと。恐らくもうあそこに行く機会は無いかも知れない。気軽に行ける距離ではないし、親戚も減った。
でも、良い思い出をたくさん作らせてもらった。私は日本の夏を堪能して育ったんだなあ。
お盆の時期は、亡くなった人に思いを馳せる時。でも人だけでなくて、自分が育った土地や与えられたものや、これまでの人生にも思いを馳せる時かも知れない。
・・・・なんてことを考えたのは、ブログを書いているお陰かな?