いつか愛せる

DVのその後のことなど

誕生プレゼントさえ終活につなげる母

 今月は私の母の誕生月なので「欲しいものある?」と電話しました。ずっと元気だった母も、段々歩くことや自転車の運転が危うくなってきています。

◆便りがないと 実は先月は母の方から電話が来ました。「ちっとも音沙汰ないけど大丈夫なの?」と。そんなに連絡していなかったかな。私は結婚後に散々心配をかけてしまったので、「便りのないのはいい知らせ」という常識(?)が通用しません。私の母にとって「便りが無いのは娘の危機」くらいの感覚でしょう。母が加齢で若干気弱になった可能性もありますが。

マメに私から連絡すれば良かったのに、夫の味覚異常等々で余裕がありませんでした。自分が明るくおしゃべり出来るときしか電話したくなくて···反省。

◆欲しいもの 母が誕生日にほしい物は「折りたたみ傘が壊れたから買って」とのこと。決して高価なものはリクエストされません。大きさやデザインの好みを聞けば「あんたの好みでいい」と言います。

私は持ち歩く機会が多いから雨晴兼用で小型で軽量な傘しか持たない、と言うと「小さすぎると体がはみ出るから(←母はぽっちゃり体型)それなりの大きさで」「派手過ぎる原色以外」と若干絞られました。

             

◆私に残すもの 話すうちに「あんたの好み」と言われた理由がわかりました。母が亡くなった後に私に使ってほしいから·····う~ん。ありがたいやら切ないやら。

義実家売却前の片づけを母に手伝ってもらい、私の実家には義実家から引き取った物が結構あります。義母の傘のデザインはかなり地味でした。それで母は、自分が残すものは私にも使えるものにしたいようです。これも母の終活でしょう。自分の友達に残したいものは直接本人に伝えているかも知れません。

◆進む終活 母の終活は進んでいます。実家の天袋はかなり隙間ができました。今は「お父さんが死ぬまで入っていられる施設に」移動できるよう探しています。今父が入っている病院はいずれ出なくてはならないため、もし「自分が先に逝ってしまったらあんたたちが手続きに困るから」と言います。夫を看取ってからでなければ自分は死ねない、と考えるのは義母も同じでした。残念ながら義母は義父より先に逝きましたが。

「今度来たときお隣のご主人を紹介するから」とも言われました。家で母に何かあれば最初にお世話になるのはご近所さんだからです。

◆終活の理由 母は身内を何人か看取った際や後始末でかなりの苦労を経験しています。私の義実家を見た記憶も新しいでしょう。自分が死んだ後、私たちに苦労させたくない気持ちが強いようです。もともと「人に後ろ指をさされたくない」と考えるタイプなので、可能な限り片付けるつもりでしょう。

◆実感が持てない 最近の母はそういう話を普通の世間話のようにします。ただ情に脆いタイプなのでうっかりすると涙ぐんでいます。

私は大抵クールに反応します。どこかまだ実感がうすいからそうできるのだと思います。まだ先のことのはず・・・出来るだけ先であってほしい。父はすっかり弱ってしまったけれど、せめて母にはずっと元気でいてほしい。

でも私自身がちゃんと動けるうちに見送ってあげたいから両親の長生きはほどほどで···なんて矛盾したことも考えます。