いつか愛せる

DVのその後のことなど

人権リスクと聞いて思い出した

 職場で人権リスクの話題が出て、自分の昔の職場は今ならアウトだなと思い出した。私が社会人になったのは、ちょうど日本人の働き方に変化が出始めたころ。週休2日が導入されたり、男女雇用機会均等法が制定されたり。

 当時ほぼ毎日のサービス残業中、夜7時を過ぎると上司から「女の子は電話とらないで」と言われた。まだ均等法の直前くらいで、女性が働ける時間帯が決まっていたからだ。労働基準監督署からか、あるいは本部から探りの電話がくる可能性がある。居るのに居ないふりすることにムカつき、わざと電話に出たりした新人時代の私。

 現状を変えようなんて発想はない。ただ若くて正直だったので、組合で「何か意見や質問は?」と名指しされた時は聞いてみた。

「どうして仕事しているのに、7時過ぎたら電話をとっちゃいけないのかわかりません」

その場がシーンとしたけど、知ったこっちゃない。疑問は無いかと聞かれたから答えただけだもん、と思っていた。多分、もっと前の世代の人はこういう質問をしなかったのだろう。だから私たちの世代は新人類と呼ばれたのか。もう、すでに旧人類になったと思うが。

 その職場は女性が結婚や妊娠しても肩たたき(退職推奨)されることはなかったが、退職しないのは茨の道だった。私が知っている女性の先輩方は皆、妊娠してもあまり配慮してもらえず。もれなく具合が悪くなり大きなお腹を抱えて倒れて辞めて行った。

 

 ところで当時はこれらのことを扱うのは組合しかなかった。今は会社がやるべきことになっているらしく、それは喜ばしい。私は会社の宴会も社員旅行も嫌いだった。新人女子は上司のとなりに座らされ、オジサンとカラオケのデュエットやらチークダンスまでさせられた。当時は断る選択肢は無かった。

 私が近年になって「うっせえわ」の歌詞に共感できたのは良いのか悪いのか。どこかの有識者が「あれは中高年には理解できない、社会の背景が違うから」と言っていた。すみません。昔は景気が良くて閉塞感は少なかったから、私に今の若者の気持ちはわからないのかも知れない。それでも、パワハラやセクハラといったハラスメントの概念があるのは昔よりマシだと思う。それに今は週休2日も当たり前で、有給休暇取得の義務化もある。(それでも私が楽になった気がしないのは体力の衰えのせい?)

 

 時代と共に日本の労働条件は改善されているものの、労働環境は複雑になる一方な気がする。私の昔の職場には障がいのある人もLGBTの人も外国人も居なかった。もちろん当時からそういう人は存在したはずで、ただ自分のその特性を隠して働いたり、あるいは一般企業で働くのを諦めるしか無かったのかも知れない。働ける人が増えるのは良いことだ。定年が伸びるのもありがたい。でも、体力つけなきゃ···