いつか愛せる

DVのその後のことなど

脳みそが臨戦態勢だったらしい

 昨日の記事で、過去に私が(恐らくトラウマのため)フリーズしてしまった話を書いた。私はもうそんなことはないけれど、人によっては何十年も引きずるし、一生治るかどうかもわからない。だから、誰もが時間経過によって治るという誤解を招きませんように。

        

 私の場合、生活に支障が出るほど男性を怖いと感じたのは、その時だけ。周囲が男性ばかりの職場でもどうにか働いたことがある。その日はたまたま過去を思い出して書いているタイミングだったので、症状が強く出たのかも知れない。

 あの時、頭では状況を理解出来ていた。図書室の椅子に座って記憶をたどり、ひたすらノートに書く私。そのすぐ横に佇んだ男性は、ただ私の後ろに貼ってあるポスターに興味があって見ているだけ。私には何の関心も無い。そう理解はしていた。

それでも、問答無用に怖かった。その人に怒鳴られそうな、手がこちらに向かってきそうな気がしてしまう。いっそ男性がポスターを見ていることを確認するため、自分の目線を上げようかと思ったけれど、目が合うことも怖い。

考えてみれば、私が怖かったのはその男性ではなく自分の妄想だったとわかる。

つまり、理性と感情がまったく不一致。しかも感情が理性を上回って、書き続けられなくなった。黙ってひとりで座っていたから誰にもわからなかったと思うし、その男性が去って間もなくフリーズは解けた。

 日常にも、感情(というよりは本能かな)と理性が不一致な状態はいくらでもある。あらゆる欲望=食欲、睡眠欲、性欲etc.を感じている時、TPOによっては理性がそれらを押しとどめる。腹が立っても泣きたくても笑いたくても、状況によっては無表情でいる。そう出来るのが普通の状態と言えるのかな。

 では、理性より感情や本能が勝っていいのはどういう時だろう。危機的状況のとき、かな。理性よりも「怖い!」という条件反射のような感覚が役に立つ。

一時期よく聞いた「正常性バイアス」という言葉。異常なことが起こった時に「大したことじゃない」と落ち着こうとする、心の安定機能のようなもの。←これは理性の方だよね。

複数の被験者に内容は知らせず部屋に待機させ、非常ベルの音や「火事だ!」という声を聞かせる実験。日本人の特性なのか、誰も逃げなかったと聞く。それが本当の災害なら逃げ遅れて命がない。理性よりも五感に訴えるよう🔥煙や臭いを出すとか。あるいは本物の火事を経験した人ならきっとすぐ動く。

 何らかのトラウマを抱えたサバイバー(生きのびた人)は、正常性とは逆に異常性のバイアスでもかかるのかな? けれど私は頭で正しい状況を把握して感情が駄目だったから、少し違う気もする。

きっと長いこと脳の緊急事態を継続していると、それが平常モードだと脳が勘違いを起こすんだろうな。常に逃げるか戦うかに備えた態勢を解けないから、肉体まで勝手に反応するのかも知れない。