いつか愛せる

DVのその後のことなど

母があった詐欺の話①「出会い」

 私の母が詐欺にあった話を少しずつ書いて行こうと思います。私が聞いた話を記憶だけで書いているので、時系列も曖昧ですし、微妙な間違いや私が想像で補っている点も含みます。要約はこちらの記事です。↓

◆出会い 10年くらい前だったでしょうか。その女性Xは、実家の向かい側の古いマンションに引っ越して来ました。当時、実家では「ユメ」という名の元ノラ猫を飼っていました。庭で母がユメと一緒にいたとき、女性Xに話しかけられたと言います。

(母の手とありし日のユメの写真です。目元が堺雅人に似ていました)

          

◆距離を縮める 女性Xの年齢は私より少し下で、母とはかなり離れています。彼女は小型の室内犬を飼っていて、よく散歩のついでに私の実家に来ました。午前と午後、一日に二度来る日もあったと聞きます。色々とチェックされていたのでしょう。そのあたりを私は見ていませんが、確かに頻繁に来ていました。

◆受け入れるわけ たまに私が実家に行くと、毎回のように女性Xと鉢合わせました。でも会話の少ない両親の間でおしゃべりしてくれるので、明るくなっていいかなと思っていました。

母は昔から友人が多く、人を受け入れやすいタイプです。歳の離れた友人ができてもそれほど不思議に思いませんでした。それに私が子どものころは、両親の友人が勝手に裏口から入って美味しいお裾分けを置いて行ってくれたような家です。都内の下町ですが、のどかさの名残がありました。

◆女性Xのプロフィール 当時母から聞いたところによると、彼女は元は芸者をしていたそうです。仕事がら男性には懲りているので結婚する気はないこと。もうお金は十分溜めたので、今は働いていないこと等。どこまで本当で嘘かはわかりませんが、多分、芸者の仕事は事実だったと思います。本当に働いていないらしく、何か習い事に行く日以外はほとんど毎日母のところに来ていたようです。

◆世話を焼いてくれる 頻繁に手土産をもってきました。お菓子が多いのですが、脂肪肝を気にしている母は少し困っていました。自前の小物や衣類やバッグなども何度もくれたようです。中にはブランド物の服も「太って入らなくなったから」と。母の方が彼女よりポッチャリですから、その服は私がもらっています。

物だけでなく、ガラケーが不調になった母を連れてスマホに機種替えの手続きをし、使い方も教えてくれていました。母はもちろんお礼に手作りのお惣菜などをお裾分けしていたと思います。

◆見過ごした違和感 芸者さんの知り合いはいないので、私たちには未知の世界です。もう働かなくていいくらい稼げる仕事なのかと信じました。あるいはいわゆる旦那さん(←夫ではなくスポンサー)がいるのかな?と。だからブランド物も「気に入らない貢ぎ物だったのかしら」と思って遠慮なく受け取りました。元々の仕事柄で、人との距離を縮めるのが得意な人だと納得もしました。

 この「私たちの知らない世界にいた人」だという思いが、彼女への違和感を気付きにくくさせていたのかなと後になって思いました。