いつか愛せる

DVのその後のことなど

スポーツジムが体に悪かった話

 たった1回、夫と一緒にスポーツジムに行ったときの話。なぜか夫はそういうところはお金持ちが来るイメージがあったようで「おお!セレブだセレブだ」と言う。私はパジャマになりそうな運動着だけど。上達したらカッコいいウエアにするからいい。

 結構な賑わいで、ぴったりしたウエアと絞った肉体の人も、私のようなジャージで参加する初心者もいる。トレーニングマシーンであっという間に汗だく。夫はランニングマシーンが気に入って長く乗っていた。私は体をほぐしたくてバランスボールを楽しむ。

 やがて目的のプログラムの時間。体幹を鍛えてフレイル(虚弱)予防をする体操は参加者の年齢が高くて楽々だった。

もうひとつは、格闘技の動きを取り入れたダンス風の運動。ボクササイズに似ている。夫は格闘技の経験があるので、楽しめると思い参加した。ただハードそうなので「初心者でも参加して大丈夫ですか?」とインストラクターに確認。「大丈夫ですよ。きつかったら途中で休んでください」とのことなので念のため一番後ろの方にいた。

 リズムダンスは若いころ少しだけ習ったけれど、そこにパンチやキックの動きが加わり、ハードで私はゼイゼイ息切れ。夫は動きはさすがにサマになって・・・・・いる、ようでいなかった。

構えは決まっている。顎を引く角度や首や腕の構えもプロっぽい(わしのジョー!)。それこそインストラクター以上に決まっている。

  

でもこれはボクシングじゃない。だから、打ち抜いちゃいけない。蹴り上げちゃいけない。インストラクターの動きは殴る動きの後、ピタッと止まる。蹴った後も脚をピタッと止める。

だけど夫は何も考えず、格闘技そのものの動きをする。打ち抜いても当たる相手が無いから、そのままよろける。2~3歩踏み出して倒れないようにするのが精一杯。ボクサーがすべてのパンチとキックを空振りするのと同じ。打つごとに、蹴るごとに、当たってくれる相手が無いので何倍も消耗する。

 やがて私と夫は一番後ろの壁際に座り込んだ。ぜ~ぜ~ぜ~😓

インストラクターから「少し休んだらまた参加してくださ~い」と檄が飛ぶのでよろよろと立ち上がる。楽しかったけど疲れた。

 その日はめずらしく熟睡できた。そして夫は翌日「膝のうらに水がたまって痛い」と言い出した。ああ、頑張りすぎちゃったか。健康のために行ったのに。若い頃と同じ動きができても、それだけで壊れかけるんだなあ。