いつか愛せる

DVのその後のことなど

ニュースで思い出した自衛論

 ちょっと前から気になっていたニュース。私は経験上、性被害に遭った人にはまず共感や同情の念を持つ。でもあるDJさんのニュースには共感しにくい理由が、自分でもわからなかった。容姿や若さや知名度への嫉妬なのか?

色々な人の反応を見てモヤモヤし続け、ようやく少し同意できたのが倉田真由美さんの記事。流れは以下。

DJさん :野外フェスでのセクハラ被害を訴える

大多数の人:彼女への同情&痴漢への怒り&管理側の手落ちを指摘

一部の聴衆:彼女の服装の露出が悪いと言う

DJさん :好きな服装をしちゃいけないの?「服装で人を判断できない」と反論

倉田さん:いや服装で人を判断できるよ、と反論

DJ SODAが露出服装批判に反論 女性漫画家「『そんなつもりはない』は無理がある」と指摘

https://nordot.app/1066648822207725708?c=768367547562557440

 後になって、例のDJさんは6歳のころ性被害にあったと告白。ならば尚更こういうことは恐ろしかったろうと思う。私は性被害の告白は疑わないことにしているので、もちろんその話も信じる。(ただし仮に嘘であれば、痴漢の冤罪を創作した女性と同様、加害行為を行う人以上に女性の敵だと認識する)

 そうか。服装のエロさも仕事上の自身の商品価値にしていること、被害経験さえも知名度アップに利用すること(ご本人の意思でなくスタッフの意向かも知れないけど)。などが、私がすんなり共感できない理由らしい。実際に私は彼女の名前も知らなかったのに、もう忘れそうにないほどしっかり覚えた。さらに彼女は今は6歳のころと違って弱者ではない。(6歳のころの被害については、今も助けが必要な可能性がある)

 これまでの論議を見て、服装の問題ではなくファンとの距離の管理の問題だという意見に、私も賛成。好きな服装はOKだけど、酔っ払いも混じったファンとの距離をゼロにするのは反対。今回はどこまでがご本人の意思なのか気になった。もし事務所等に無茶振りされた点があるなら、それは気の毒に思う。

 

 ところで、痴漢対応に関してはずっと昔からある論争を思い出した。

自衛することを勧める(服装等への注意を含む)のは駄目なのか」という意見と。

痴漢が悪いのに、被害者の責任にするつもりか」という意見との、対立。

どちらも正しい。私は自衛はありだと思う。泥棒に入られないために、家に鍵をかけ念入りに戸締りするのと同じだから。(ただし痴漢は露出の多い相手を狙うとは限らない。犯人が”この人はエロそう”と見るのも、”この人は大人しそう”と見るのも、怒られないだろうと読んでいる点が多分同じ)

           

 一方、法律に反してもいないのに女性が服装や行動を制限されるのも、おかしい。私は露出の多い服装は好まないけれど、若いころはよくミニスカートを履いた。ロングより自分に似合っていると思ったから。もし自衛のため、当り前に存在する程度のミニスカートまでやめろと言われたら反発したと思う。

 自衛に関する対立はなぜ起きたのか。恐らく、多くは不公平感からだったと思う。私がこの論争を見ていたころ、服装や行動を制限しろと言われるのは、いつも女性ばかりだった。だから、犯罪者のせいでなぜ女性ばかりが不自由を押し付けられるのかという意見が起こり、男女の分断に発展してしまっていた。

 でも、世の中は変わりつつあるから。もしかしたら男性(あるいはLGBTQの方々)にも、同じ制限をおすすめされるかも知れない。そうすれば、自衛論に反対は起きにくくなる。

 もちろん悪いのは犯罪をする側。そして自衛するかしないかは本人の自由。でも自衛しない選択には、リスクが伴う。だからDJさんは服装での自衛をしないのなら、ファンとの距離で自衛すれば良い。

 本当はそんなリスクの無い世の中になってくれればいいのだけど。