ニュースと同じ危険 - いつか愛せる

　見知らぬ人に、いちゃもんを付けて暴行し死亡させた19年前の事件。私は当時は知らなかった。今回すごく気になったのは、つい2年くらい前に夫がよく似た経験をしたから。他人事ではなくなった。

「肩ぶつかった」4人組の男に暴行され兄は死んだ…未解決のまま「19年」遺族の男性「諦めない…のうのうと生活している犯人追い詰めて罪を償って」

　ニュースの現場は飲み屋街だったけれど、夫の場合はスーパーもあって私もよく通る道の大きな交差点。しかも平日の昼間。お天気が良く買物帰りにのどかな気分でいた時らしい。なお、これは夫の主観を聞き私が書いているので、どこまで正確かは不明。

　横断歩道の向こう側に大学生くらいに見える若者が5人、こちらを見ていて嫌な感じがしたという。もし私ならそこで相手を避けると思うけれど、夫は気が強いのでそのまま渡る。案の定、肩にぶつかってこられ絡まれた。

　過去、私は夫に対して「強くなんかなければ良かったのに」と思い続けた。でもこの時ばかりは、喧嘩が強くて助かった！と思った。いくつか格闘技をやっていたので、相手が素人なら複数人でも余裕らしい。原因不明の体の不具合はあるけれど、調子のいい時には問題なく動けるし、年の割に運動神経は良い。

　恐らく相手は人数だけでなく、夫の見た目で油断したと思う。かなりやせ型だし、白髪が多いので実年齢より上に見えた可能性もある。もしかしたら、目的はオヤジ狩りだったのかも知れない。だとしたら、彼らは華奢なオヤジを5人で襲ったということ。それで怪我をしたなら自業自得だと思う。

　とにかく、夫は手足にわずかな擦り傷を付けただけで帰宅した。買物した物も財布も無事に持ち帰った。テレワーク中だった私は話を聞いて大いに冷や汗。

ごく普通の町だと思っているのに、こんなことが身近で起きるとは。一体なぜ？どんな若者なの？　コロナ禍に入ってしばらく経ったころだから、ストレスでイライラする人が多いのかなと考えた。平日の昼間だということは、彼らは学校にも仕事にも行っていない。行けない状況なのか。

　一歩間違えば、夫はあのニュースと同じことになった。たまたま強かっただけ。そしてそれは彼らにとっては、むしろラッキーだったと思う。だっておかげで人殺しをせずに済んだ。

あのとき痛い目にあったことを、生き方を変えるきっかけにしてくれないかな。弱そうな人を相手に憂さ晴らしすることも、見た目で人を判断することもやめてほしい。そして私は、ここが安全な街であってほしい。

　それにしても、もっと危ない人たちでなくて良かった。危険物を持ち歩いているかも知れないし、仲間が仕返しに来ないとも限らない。でも夫の話ではそういう人種ではなかったらしい。