家を売る手続き絡みで印鑑証明の取得を拒否されたお話。ただ私の記憶がすでに曖昧なので、細かい部分は記憶違いの可能性もあり。
無料法律相談で司法書士さんから義母の印鑑証明等をとっておくようアドバイスされ、そのまま役所の窓口へ。本人ではないので委任状が必要になる。
「この様式でご本人に記入をお願いします」
「ああ。無理です。書けないです」
点滴だけで頑張って生きている義母を無理に起こしたって、ペンなんか持つ力も無いですよ・・・という内心の言葉はとどめた。数人が寄ってきて説明される。
「ご本人の手の上から手を支えて書いていただいて構いませんから」
無茶だな。私が困っていると、
「病院でご本人が動けない状況だとわかる書類をもらってください」
それなら、看護計画の書類でわかるだろうと思った。このセリフを言った女性の名札を確認しなかったのは私のミス。名前どころか顔も覚えていない。
ここまでは市役所の本局での話だが、次の手続きは分室へ。分室は土曜日も開いていたから仕事を休まなくてすむ。
ところが印鑑登録して同時に取得するための書類を拒否された。委任状か診断書を持ってこいと。
私は本局で聞いた話を説明した。「誰から聞きましたか」「名前はわかりません」
だったら本局へ行けと言わんばかりに断られた。
通常の私の性格は、ああいう場合絶対におとなしく引き下がる。
でもあの家を売らなければ、義父母の医療費をこれ以上払えないし施設の入居も出来ない。夫の心身も壊れかけている。綱渡りの生活で動けるのは私だけ。
「診断書が必要ならそう知っていれば・・・今だって病院に行ってきたんですよ!」
しばらく立ち上がれず無言のまま涙が流れた。でも役所の管理職らしき人も引くわけにはいかないだろう。私が立ち上がるしかない。
司法書士に経過を連絡し、病院に電話し診断書について聞いた。書いてもらうのに2週間もかかるという。
呆然としたまま自転車置き場に向かう途中で携帯が鳴る。さっきの役所の男性だった。
「今日は本局は休みなので、月曜日に電話して確認します」とのこと。ああ、この人は同情してくれているようだ。本局でなら手続きできるかも知れない(役所としてそれでいいの?という気はするが)
帰宅して気付く。私は義母の名前で印鑑登録しようとしたが、すでに登録カードがあった。何年か前に権利書を名義変更しているのだから当然ではないか。そんなことに思い至れないほど切羽詰まっていた。
さらに気付いた。私は偽の印鑑登録を企んでいると疑われているんだ!
義母の実子でなく嫁だから尚更怪しいだろう。私が困っている事が、すべて疑われる理由になっている。
疑われるのはムチャクチャ悔しかった。私は真面目が取り柄の人間なのになあ。
月曜日に予定通り電話は来た。前に電話をくれた男性と別人でもっと偉そうな感じ。
「本局では誰もそんなことは言っていない」と言われた。今度は私を嘘つき扱いか・・・
けれど今は何を言っても無駄だ。全部終わってから役所に手紙を書こうと思った。
とにかく私は義母の印鑑証明書を手に入れた。役所は本人が書いた体裁の委任状があればいいのだと計算できたから。
月曜日に偉そうな男性が電話をくれた際「委任状を誰が書いたかわかるんですか!」と突っ込むのは忘れなかった。もちろん「わかりません」と言われた。正直者が馬鹿を見る仕組みなのだという気がした。
そして義母は売却の意思確認のときもその後も、ちゃんと生きていてくれた。家を売って義両親が転院するための資金も確保された。
だから私は市役所に手紙を書いた。自分に手落があって疑われたと認識した事。役所には疑う使命もあるだろうこと。でも本当に困っている人間を切り捨てないために、見分ける目を養っていただきたいこと。
時間をあけたことでクールダウン出来てちょうど良かったと思う(でも役所から返事はない)
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